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レドックスフロー電池の開発動向


定価 ¥ 81,400(税込)
販売価格 ¥ 81,400(税込)
商品番号:dc0132
ISBN: 978-4-7813-1262-0


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■発刊日:2017年9月29日
■販売者:パテントテック社

■出版社:株式会社シーエムシー出版
■資料体裁:B5判、254頁

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★レドックスフロー電池研究をまとめた初の技術成書!!
★電解液、電極、双極板などの部材から評価手法、トレンドの有機レドックスフロー電池まで網羅!!

■刊行にあたって

地球温暖化が急速に進展する中、太陽光や風力など自然エネルギー(再生可能エネルギー)を十分に利用していくために、電力貯蔵技術としての二次電池(蓄電池)がますます重要になってきている。

レドックスフロー電池は、鉛蓄電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、ナトリウム硫黄(NAS)電池などと同様に電力貯蔵用二次電池として用いられる。それぞれ特徴があり、大型・大容量の蓄電池として使われるのは、リチウムイオン電池、NAS電池、そしてレドックスフロー電池である。リチウムイオン電池はセル電圧が4Vと圧倒的に大きいが、信頼性、寿命に難点が残されている。NAS電池は300℃ほどで作動する高温二次電池であり、エネルギー密度も高く採用数も多いが、Naの利用から火災が過去に起きたこともあり安全性と信頼性は今後も重要課題である。一方、レドックスフロー電池は、活物質(レドックスイオン)を含む溶液を正極・負極で酸化・還元するもので、電極そのものが変化するわけではなく正負極溶液の価数変化により蓄電・放電するシステムになっているので、タンクの容量を大きくすることで蓄電容量を増やすことができ、電極面積を増やすことで出力を増やすことができる、つまりこれらを独立に管理・調整できる二次電池である。また、反応系を高温に保つ必要もなく、多くの場合、水溶液の電解液を使用するので安全性がきわめて高く、電極そのものが変化するタイプの二次電池ではないので、サイクル寿命が極めて長い、などの特徴を有する。エネルギー密度が低いことなどがレドックスフロー電池の弱い点でもあるが、大型化する場合には問題とならない場合も多く、また、小型化に関しても国外では電気自動車に搭載する具体的な動きもあり、研究が進んでいる様子が見られる。

レドックスフロー電池は、1970年代より、米国とならんで日本が世界にさきがけて進めてきたものであり、40年以上の歴史がある。我が国では、2011年3月の東日本大震災の発生に関連して、再生可能エネルギーの積極的な導入とこれに伴う形で大型の電力貯蔵用二次電池が必要と認識され、レドックスフロー電池を含む、二次電池全体の研究開発が活発になったものと考えられる。国際的には、2011年頃から研究が活発化しているが、2010年頃の米国DOE(United States Department of Energy)の予算の動きの変化や、米国・欧州各国で2010年から新規に学会(International Flow Battery Forum (IFBF))が定期開催されるようになったこと、中国や韓国の研究者の躍進がめざましいことなどが、研究の活発化を盛り上げている。従来のバナジウムイオンを用いるレドックスフロー電池ばかりではなく、最近は新しいイオン種の組み合わせの系や、有機化合物を活物質に使う系も出てきており、研究動向に目が離せない状況である。 

2010、2011年頃から研究が活発化した欧米・中国等に比べて、我が国ではレドックスフロー電池の研究の盛り上がりは現時点でもまだまだ小さく、研究者層も極めて小さい。そのような中で、大学、企業、国立研究所等のレドックスフロー電池に関係する研究者を集めて、再度レドックスフロー電池の研究が盛り上がることも期待して、40年以上前に米国NASA Taller博士と同時期に研究をスタートした旧電総研(現在産総研)OBの野﨑と、これを受け継いでレドックスフロー電池の研究に参画した佐藤(産総研)は本書の企画に賛同した。本書により従来全くと言ってよいほど報告が少なかった、我が国のレドックスフロー電池の技術水準の高さを確認できるものと期待している。

佐藤 縁、野﨑 健 
(本書「はじめに」より)

■著者一覧

野﨑健 元 (国研)産業技術総合研究所
佐藤縁 (国研)産業技術総合研究所
津島将司 大阪大学
増田洋輔 古河電池㈱
佐藤完二 LE システム㈱
董雍容 住友電気工業㈱ 
片山靖 慶應義塾大学
大原伸昌 ㈱ギャラキシー
中井重之 ㈱ギャラキシー
塙健三 昭和電工㈱
市川雅敏 昭和電工㈱ 
井関恵三 昭和電工㈱
織地学 昭和電工㈱ 
丸山純 (地独)大阪産業技術研究所
吉原佐知雄 宇都宮大学
小林真申 東洋紡㈱
飯野匡 昭和電工㈱
重松敏夫 住友電気工業㈱
内山俊一 埼玉工業大学
鈴木崇弘 大阪大学
城間純 (国研)産業技術総合研究所
金子祐司 (国研)産業技術総合研究所
笘居高明 東北大学
本間格 東北大学
小柳津研一 早稲田大学



【第Ⅰ編 基礎】
第1 章 レドックスフロー電池とは   
1 はじめに
2 RFB の原理
3 RFB の原理的特長と難点
4 RFB の構成要素
4.1 電解液
4.2 電極材料
4.3 隔膜
4.4 その他のRFB 構成材料
5 RFB の用途とコスト
6 RFB の用語について
7 おわりに

第2 章 レドックスフロー電池の国内外研究動向 
1 はじめに
2 セル(流路構造)
3 電極
4 隔膜
5 電解液およびレドックス反応系
6 実証事業など
7 まとめ

【第Ⅱ編 要素技術】
第3 章  レドックスフロー電池およびレドックスキャパシタへの電池用セパレータ適用   
1 はじめに
2 電池材料のコスト
3 汎用電池用セパレータ適用可能性の検討
3.1 原理
3.2 セパレータの種類とコスト
3.3 小型セルによる充放電試験
4 考察
5 応用例
5.1 レドックスフロー電池
5.2 レドックスキャパシタ
6 総括

第4 章 電解液
1 バナジウム電解液    
1.1 はじめに
1.2 レドックスフロー電池の電解液開発経緯
1.3 バナジウム電解液の特徴と性質
1.3.1 バナジウム電解液の酸化還元反応
1.3.2 電極との電子交換反応速度
1.4 火力発電所燃焼煤からの電解液原料バナジウム回収
1.4.1 原料バナジウムの市況価格の推移
1.4.2 オリマルジョン燃焼煤
1.4.3 スートマンプロセスによるメタバナジン酸アンモニウムの回収
1.4.4 石油コークス(PC)焚き火力発電所の燃焼煤
1.4.5 LE システムの下方流燃焼炉によるバナジウムの回収
1.5 バナジウム電解液製造法
1.5.1 鹿島北共同発電の電解液製造法
1.5.2 LE システムの電解液製造
1.6 バナジウム電解液のエネルギー密度向上に向けた新しい動き

2 チタン・マンガン系電解液 
2.1 はじめに
2.2 チタン・マンガン系電解液の開発
2.2.1 電解液の要求事項
2.2.2 チタン・マンガン系電池の動作原理、課題
2.2.3 チタン・マンガン系電解液の基本特性
2.3 電池性能向上
2.3.1 抵抗成分
2.3.2 電極の表面処理
2.3.3 電流-電圧特性と出力特性
2.3.4 小型電池の試験結果
2.4 おわりに

3 イオン液体  

4 高濃度バナジウム電解液  
4.1 まえがき
4.2 VRFB 電解液 高濃度化の試み
4.3 新規な電解液としての高濃度電解液
4.4 おわりに

第5 章 電極材料
1 VGCF®TM 電極を使った高出力RFB   
1.1 はじめに
1.2 VGCF® の特性紹介
1.3 VGCF® シート
1.4 VGCF® シートをつかったRedox Flow Battey
1.5 おわりに

2 ポーラスカーボン電極表面におけるレドックス反応 
2.1 はじめに
2.2 酸素含有官能基を付与した炭素表面におけるジオキソバナジウムイオン還元反応機構
2.3 Fe-N4 サイト含有炭素薄膜の被覆によるジオキソバナジウムイオン還元反応の促進
2.4 3 次元網目状構造を有する酸化黒鉛還元体におけるバナジウムイオン酸化還元反応
2.5 おわりに

3 ボロンドープダイヤモンド電極および活性炭繊維電極  
3.1 ボロンドープダイヤモンド電極
3.1.1 概説
3.1.2 BDD 電極の製膜と作製
3.1.3 基板の前処理
3.1.4 マイクロ波プラズマCVD 法
3.1.5 製膜したBDD の観察
3.1.6 BDD 電極の作製
3.1.7 電解液の作製
3.1.8 セルの作製
3.1.9 酸素終端処理と水素終端処理
3.1.10 バナジウム溶液中におけるBDD 電極の電気化学特性
3.1.11 コバルト溶液中におけるBDD 電極の電気化学特性
3.1.12 まとめと考察
3.2 活性炭繊維電極―フローセルにおける性能評価
3.2.1 活性炭繊維
3.2.2 概説
3.2.3 電解液の作製
3.2.4 セルの作製
3.2.5 CDC
3.2.6 結果と考察
3.2.7 まとめと考察
3.3 総括

4 炭素電極  
4.1 炭素電極の要求特性
4.2 炭素電極の導電性と電極活性
4.3 炭素電極の通液性と組織構造
4.4 炭素電極の耐久性
4.5 双極板一体化電極
4.6 薄型電極

第6 章 双極板   
1 はじめに
2 双極板の種類
2.1 不浸透性カーボン
2.2 膨張黒鉛系
2.3 プラスチックカーボン
3 要求特性
3.1 電気特性
3.2 耐久性
3.3 不純物
3.4 機械的特性
3.5 成形加工特性
4 最近の技術動向
5 おわりに

第7 章 システム設計
1 大規模レドックスフロー(RF)電池  
1.1 大規模蓄電池に要求される特性
1.2 レドックスフロー電池の基本システム構成
1.2.1 システム構成要素
1.2.2 システム設計
1.2.3 電気システムとしての構成
1.3 大規模レドックスフロー電池の設計例
1.3.1 需要家設置の例
1.3.2 電力系統での実証試験例
1.4 課題と今後の展開

2 多目的レドックスフロー電池  
2.1 まえがき
2.2 緒言
2.3 多目的レドックスフロー電池
2.3.1 埼玉工業大学レドックスフロー電池
2.3.2 多目的レドックスフロー電池 ―レドックスキャパシタとしての利用―
2.4 レドックスフロー電池技術の新展開
2.5 結言


3 第2 世代レドックスフロー電池  
3.1 はじめに
3.2 第2 世代レドックスフロー電池の電極流路構造
3.3 まとめ
3.4 謝辞

4 レドックスフロー電池の応用としての間接型燃料電池   
4.1 「間接型燃料電池」の概念
4.2 固体高分子型燃料電池の原理と課題
4.3 固体高分子型燃料電池の課題解決の一手段としての間接型燃料電池
4.4 間接型燃料電池の開発課題
4.5 アノード(燃料極)側の間接化の研究動向
4.6 カソード(酸素極)側の間接化の研究動向
4.7 間接型燃料電池システム全体に関連する研究動向

第8章 評価手法  
1 レドックスフロー電池のSOC の計測方法  
1.1 電流積算法によるSOC の計測
1.2 OCV からSOC の計測
1.3 分光法によるSOC の計測
1.4 クーロメトリーによるSOC の計測

2 レドックスフロー電池の電解液の連続測定  
2.1 はじめに
2.2 RFBの基本設計に必要な電解液の物性値
2.2.1 セルスタックのシャント電流損失とポンプ動力損失
2.2.2 セル性能に及ぼす電解液の特性
2.3 RFBの運転制御とモニタリング
2.4 RFBの電極材料の評価手法と電解液
2.5 おわりに

【第Ⅲ編 新規レドックスフロー電池の開発】
第9 章 有機レドックスフロー電池   
1 はじめに
2 有機レドックス種として用いられる分子類
2.1 キノン類
2.2 TEMPO、MV などの利用
2.3 フェロセンなどの有機金属錯体の利用
2.4 その他
2.5 生体関連分子から
3 電極材料と隔膜
4 問題点・課題・今後の展開

第10 章 スラリー型レドックスフロー電池/キャパシタ  
1 はじめに
2 セミソリッドフロー電池
3 電気化学フローキャパシタ
3.1 カーボン材料の高濃度化
3.2 レドックス反応容量利用
4 有機レドックスフローキャパシタ
5 結言

第11 章  レドックスポリマー微粒子を活物質として用いたレドックスフロー電池  
1 はじめに
2 有機レドックスフロー電池の構成
3 高密度レドックスポリマーの電荷貯蔵特性
3.1 レドックス活性基
3.2 主鎖構造
3.3 高密度レドックスポリマー層のレドックス応答
4 レドックス活性微粒子を用いたフロー電池
4.1 ポリマー微粒子のレドックス過程
4.2 レドックスフロー活物質として働く微粒子
5 おわりに