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フローマイクロ合成の最新動向
定価 ¥ 72,600(税込)
販売価格 ¥ 72,600(税込)
商品番号:dc0203
ISBN: 978-4-7813-1615-4
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■発刊日:2021年8月31日
■販売者:パテントテック社
■出版社:株式会社シーエムシー出版
■資料体裁:B5判、254頁
★フローマイクロ合成はファインケミカルや医薬品原薬の製造において導入が進む連続製造プロセスの基盤技術!
★フロー反応により反応効率の最大化、副生成物の最小化、コストダウンが期待され、グリーンなものづくりに貢献!
★本書ではプロセス開発や有用物質合成に向けた最近の展開について詳述するとともに、フロー実用化事例についても解説!
■刊行にあたって
現代社会は,環境,気候変動,感染症,保健・衛生など,様々な地球規模の課題に直面しており,これらの課題への対応やSDGs の実現に向けて,有機合成化学の役割はますます増している。
フロー・マイクロリアクターは微小流路の中で反応を行うフロー型の反応器であり,効率的な混合や速やかな加熱や除熱,精密な温度制御が可能である。その性質を利用して,収率・選択性の向上やマイクロフロー合成によってのみ実現可能なプロセスなど様々な新手法が見出されてきた。例えば,不安定な短寿命の活性種を発生させ,分解前に次の反応に利用するというフラッシュケミストリー(Flash Chemistry)はマイクロフロー合成によって実現した。一方,マイクロフロー合成やフロー連続プロセスは,安全性やスケールアップの容易さなどから産業界の注目を集めている。特に, ファインケミカルと医薬品原薬(API:Active PharmaceuticalIngredient)の製造においては,安全性,品質管理,収率等において連続製造プロセス(continuous manufacturing)の導入が推奨されている。フロー合成は,連続製造を実施するための鍵となる技術の一つである。また,フロー合成では,種々の方法による反応のモニターとデータ取得,さらには獲得したデータをもとにAI による反応最適化などが容易であることからも注目されている。
我が国におけるフロー合成研究は,故吉田潤一先生のリーダーシップによって発展したといって良い。吉田先生は,Flash Chemistry を提案,実現しただけでなく,複数の化学反応を時間的・空間的に結合させて新しい効率的分子変換を行うという反応集積化の概念を提案して,フロー合成を時空間制御による反応集積化として定義するなど,この領域に多大な貢献をされた。本書を吉田先生に捧げると共に本書が日本の合成化学および化学・製薬産業等の発展に役立つことを願うものである。
■著者一覧
深瀬浩一 大阪大学
永木愛一郎 京都大学
宅見正浩 京都大学
福山高英 大阪府立大学
森本 積 奈良先端科学技術大学院大学
西山靖浩 和歌山県工業技術センター
垣内喜代三 奈良先端科学技術大学院大学
宮村浩之 東京大学大学院
跡部真人 横浜国立大学
信田尚毅 横浜国立大学
芦刈洋祐 京都大学
井上朋也 ㈱アクティ
山田 強 岐阜薬科大学
佐治木弘尚 岐阜薬科大学
赤井周司 大阪大学
高須清誠 京都大学
真鍋良幸 大阪大学
下山敦史 大阪大学
増井 悠 名古屋大学
布施新一郎 名古屋大学
網井秀樹 群馬大学
住井裕司 名古屋工業大学
柴田哲男 名古屋工業大学
土井隆行 東北大学
林雄二郎 東北大学
中田雅久 早稲田大学
岩井利之 (地独)大阪産業技術研究所
伊藤貴敏 (地独)大阪産業技術研究所
中村浩之 (国研)産業技術総合研究所
間瀬暢之 静岡大学
武田和宏 静岡大学
佐藤浩平 静岡大学
大石孝洋 ㈱カネカ
安河内宏昭 ㈱カネカ
小笹詩織 ㈱カネカ
堀江智章 富士フイルム和光純薬㈱
目次
第I編:フラスコ合成化学からフロー合成化学への展開について
第1章 高速合成化学
1 はじめに
2 高速合成を可能にするフローマイクロリアクターの特長
2.1 高速混合
2.2 精密温度制御
2.3 精密滞留時間制御
3 高速混合による有機リチウム種を用いた高速反応の選択性制御
3.1 競争的逐次反応
3.2 競争的並行反応
4 精密滞留時間制御による超短寿命有機リチウム種を活用した高速合成
5 おわりに
第2章 フロー反応装置を活用した高効率光反応
1 はじめに
2 光フローリアクターと光源
3 光[2+2]付加環化反応
4 光Barton反応
5 光ハロゲン化反応
6 一電子移動を鍵とするラジカル環化反応
7 光レドックス触媒による還元的ラジカル付加反応
8 PCBMのワンフロー合成
9 ラジカルブロモアリル化反応
10 おわりに
第3章 気液フロー反応の動向と新たな利用法
1 はじめに
2 気液二相流
3 フローマイクロリアクターを利用した気液二相反応の最近の実例
3.1 一酸化炭素を用いたカルボニル化反応
3.2 二酸化炭素を用いたカルボキシル化反応
3.3 塩素ガスを用いた塩素化反応
3.4 フルオロホルムを用いたトリフルオロメチル化反応
3.5 スラグ流を利用した気液二相光反応
4 おわりに
第4章 不均一系キラル超分子金属クラスター触媒の開発と連続フロー系への展開
1 はじめに
2 明確にその構造が定義された空孔を触媒活性部位に持つ,Raymond正四面体型超分子
金属クラスター
3 Raymond正四面体型超分子金属クラスターの高分子への担持による不均一系触媒化
4 不均一系Raymond正四面体型超分子金属クラスター触媒を用いるAza-Prins反応
5 不均一系Raymond正四面体型超分子金属クラスター触媒を用いるAza-Cope反応
6 連続フロー系における不均一系Raymond正四面体型超分子金属クラスター触媒の活
性のオンオフ挙動
7 担体のアンモニウムカチオン構造の不斉Aza-Cope反応における影響
8 不均一系Raymond正四面体型超分子金属クラスター触媒の構造解析
9 結び
第5章 有機電解反応の現状とフロー技術の利用
1 はじめに
2 有機電解合成反応の現状
3 マイクロリアクターを利用する有機電解プロセス
3.1 マイクロリアクター中で発生させた電解活性種の連続反応への利用
3.2 マイクロリアクター内の液-液平行流を利用する電解合成
4 おわりに
第6章 高分子合成反応
1 はじめに
2 フローマイクロリアクターによる重合反応制御の概要
2.1 高速混合
2.2 精密温度制御
2.3 精密滞留時間制御
3 フローマイクロリアクターによる付加重合反応の制御
3.1 アニオン重合の制御
3.2 ラジカル重合およびカチオン重合の制御
4 おわりに
第II編:フロープロセス開発の展開について
第7章 フロープロセスにおける酸化反応-大規模化学プロセスからみえるもの
1 はじめに
2 酸化反応をどう整理するか
3 酸化反応の利用拡大に向けて=フロー反応システムをどう活かすか
4 結び - 知行合一 -
第8章 不均一系触媒を使用したフロー式接触還元反応の進展
1 はじめに
2 フロー式接触還元反応装置
3 不均一系触媒で進行するフロー式接触還元反応
4 官能基選択的接触還元反応
4.1 反応条件を巧みに制御したフロー式接触水素化
4.2 触媒活性の違いを利用したフロー式接触水素化反応
5 芳香族化合物のフロー式核水素化反応
6 終わりに
第9章 加水分解酵素反応プロセス
1 はじめに
2 リパーゼ触媒による速度論的光学分割と動的速度論的光学分割
3 リパーゼ触媒連続フロー合成によるエステル化並びに速度論的光学分割
4 リパーゼ触媒連続フロー合成による動的速度論的光学分割
5 終わりに
第10章 ファインケミカル合成プロセス
1 はじめに
2 ファインケミカル合成のためのフローシステム
3 Boscalid®(農薬)の直列型フロー連続合成
4 Oxomaritidine(天然物)の収束型フロー連続合成
5 Dolutegravir(医薬品)の直線型フロー合成
6 (R)および(S)-Rolipram(医薬品候補)の直線型フロー合成
7 おわりに
第III編:有用物質合成への展開について
第11章 糖鎖合成
1 迅速な加熱による反応制御
1.1 モノクローナル抗体産生用のアジュバント,プリスタンの化学合成
1.2 速度論的Fischerグリコシド化
2 効率的な混合による收率改善:Kdo-グリコシル化
3 効率的な除熱効果を利用した立体選択的グリコシル化反応
3.1 α選択的シアリル化法の開発
3.2 β選択的マンノシル化法の開発
3.3 グリコシルアスパラギン合成
4 マイクロフロー法を利用した連続的グリコシル化:ジアセチルストラテジーによるα-gal糖鎖のワンフロー合成
第12章 ペプチド合成
1 ペプチド合成とマイクロフロー合成
2 鎖状α-ペプチドのマイクロフロー合成
2.1 Penteluteらの合成
2.2 Penteluteらの改良合成
2.3 Seebergerらの合成
2.4 Farkasらの合成
2.5 布施らの合成
2.6 布施らのN-メチル化ペプチド合成
2.7 布施らの無保護アミノ酸の連結によるペプチド合成
2.8 Kappeらの合成
3 環状ペプチドのマイクロフロー合成
3.1 Wilsonらの環状デプシペプチド合成
3.2 大石らの環状ペプチド合成
3.3 布施らの光反応を駆使する環状ペプチド合成
3.4 布施らの高活性な試薬を用いる迅速環状ペプチド合成
第13章 フッ素化
1 フッ素ガスによる直接的フッ素化
2 求核的フッ素化
3 求電子的フッ素化とラジカル的フッ素化
4 おわりに
第14章 トリフルオロメチル化合物
1 フロートリフルオロメチル化反応
1.1 トリフルオロ酢酸カリウム(CF3CO2K)
1.2 トリフルオロ酢酸(CF3CO2H)
1.3 トリフルオロ酢酸無水物(TFAA)
1.4 トリメチルフルオロスルホニルジフルオロアセテート(MDFA)
1.5 トリフルオロメタンスルフィン酸ナトリウム(Langlois試薬,CF3SO2Na)
1.6 塩化トリフルオロメタンスルホニル(CF3SO2Cl)
1.7 ヨードトリフルオロメタン(CF3I)
1.8 Ruppert-Prakash試薬(Me3Si-CF3)
1.9 フルオロホルム(HFC-23,HCF3)
1.10 その他の試薬
2 フローペンタフルオロエチル化反応
2.1 ヨウ化ペンタフルオロエチル(C2F5I)
2.2 ペンタフルオロエタン(HC2F5, HFC-125)
第15章 フロー合成法の天然物合成への応用
1 はじめに
2 ヒストン脱アセチル化酵素阻害活性を持つ環状ペプチド天然物
3 光学活性ヒドロキシカルボン酸のフロー合成
3.1 バッチ法による合成
3.2 フロー法によるチオールの共役付加-HWE反応
3.3 フロー法によるα,β-不飽和エステルの部分還元
3.4 フロー法による不斉アルドール反応
4 おわりに
第16章 フロー化学の医薬品合成への応用の試み
─タミフルのワンフロー合成と有機触媒の固定化─
1 フロー合成と有機分子触媒
2 Diphenylprolinol silyl ether触媒について
3 オセルタミビルのワンポット短時間全合成とワンフロー合成
4 Diphenylprolinol silyl etherの固相への担持
5 まとめ
第17章 フローマイクロリアクターによるα-アルキリデンβ-オキソイミドの直截的合成
1 はじめに
2 α-アルキリデンβ-オキソイミドとその不斉触媒反応,合成方法
3 フローマイクロリアクターを活用するα-アルキリデンβ-オキソイミドの直截的合成
の可能性
4 フローマイクロリアクターによるハロゲン-リチウム交換反応とメチル化
5 フローマイクロリアクターによるハロゲン-リチウム交換反応と続くイソシアネート
との反応
6 フローマイクロリアクターによるα-アルキリデンβ-オキソイミドの合成
7 おわりに
第18章 フロー法を用いたフラーレン誘導体の合成
1 はじめに
2 PCBMの合成法について
2.1 一般合成法(ヒドラゾン法)
2.2 水系二層系ヒドラゾン法
2.3 硫黄イリド法
2.4 マンガン法
3 PCBMのフロー合成法
3.1 ヒドラゾン法のフロー化検討事例
3.2 硫黄イリド法のフロー化検討について
4 インデン付加体のフロー合成
5 おわりに
第19章 ナノ粒子合成
1 はじめに
2 フローマイクロリアクターによるナノ粒子合成条件制御の特徴
3 フローマイクロリアクターを用いたスクリーニングシステム
4 おわりに
第IV編:プロセス強化,実用化への展開について
第20章 プロセスインフォマティクス:プロセス強化のためのAI活用
1 はじめに
2 インフォマティクスが牽引する化学研究
3 グリーンものづくりにむけて
4 定常状態フロー反応条件最適化法:9+4+1法
5 擬定常状態フロー反応条件最適化法:グラジエント法
6 おわりに
第21章 医薬品製造のためのフロー実用化展開
1 はじめに
2 ホスゲンを用いる反応のフロー化
2.1 医薬品製造プロセスにおけるホスゲンの利用
2.2 フロー化によるホスゲン利用プロセスの安全性向上
3 クロロフォーメート化反応
3.1 ラボ実験結果
3.2 スケールアップに基づくフローリアクターの実機設計
4 クロロカルバモイル化反応
4.1 ラボ実験結果
4.2 スケールアウトに基づくフローリアクターの実機設計
5 設備導入および稼働
6 おわりに
第22章 ファインケミカルにおけるフロー合成法の実用化
1 化学企業として期待するフロー反応のメリット
2 当社のフロー反応への関わり
3 n-BuLiを使ったフロー合成法
3.1 n-BuLiを使用したバッチ合成法とフロー合成法の比較
3.2 モノシリル化反応(gスケール)
3.3 汎用性の高いフロー反応装置の設計
3.4 ボロン酸誘導体の合成(g-kgスケール)
4 生産スケールでのフロー反応
4.1 生産装置の設計と組織体制
4.2 ボロン酸誘導体の合成(kg-tスケール)