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ナノ・マイクロ微粒子の分散評価技術
定価 ¥ 58,300(税込)
販売価格 ¥ 58,300(税込)
商品番号:dc0170
ISBN: 978-4-7813-1490-7
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■発刊日:2020年1月17日
■販売者:パテントテック社
■出版社:株式会社シーエムシー出版
■資料体裁:B5判、227頁
★他の材料と複合して利用される微粒子の最新の分散評価技術!
★分散評価技術を原理別・手法別に分類し広くご紹介!
★微細化が進む分散材料の有効活用のための,関係者必読の一冊!
■刊行にあたって
ナノ・マイクロ微粒子は多種多様な物質から構成されている。金や銀などの金属、シリカや粘土に代表される無機物、煤などの炭化物、ポリマーやバイオ関連の有機物などは、古くから用いられてきた物質である。さらに、近年の作製法の進歩により、異種物質からなる複合微粒子や形状・サイズがナノスケールで制御された微粒子も多く報告されるようになった。ある物は固く着色していて、他の物は柔らかく無色である。導電性の物質もあれば、絶縁体もある。また、分散媒体も多種多様で、液体の水や有機溶媒、固体のポリマー、気体の空気と、我々が活動するあらゆる相状態に微粒子は分散される。これらの媒体中に個々の微粒子が孤立分散した希薄状態から、ネットワークが形成される状態やスラリー状の濃厚状態まで、さまざまな微粒子濃度で応用される。
この多様性が、微粒子の分散を評価する唯一万能技術の開発を著しく困難にしている。実際、どんな分散評価法でも、特定の物質からなる微粒子が特定の媒体に分散した特定の状態に対してしか適応されない。この「評価法の特異性」は、評価原理に基づく条件から生じている場合がほとんどである。しかしながら、異分野では用いられている技術を知らなかったという無識から、適応される機会が無かった人為的な要因も少なからずあると思われる。
多くの専門書は物質に焦点を当てて書かれており、その中で取り扱われる評価法はその物質分野で成功例があったものだけである。ひょっとすると新しい知見が得られるかもしれない他の評価法は記述されていない。試行したけど測定できなかったのか、誰も試したことが無いのか不明である。以前から、主語を物質ではなく、評価法にした専門書があれば、これまで評価できなかった特性を知るチャンスが生まれるのにと思っていたところに、この企画が持ち上がった。
本書では、特定物質に偏るのでなく、できるだけ幅広い分野の専門家に執筆を依頼した。各々の評価法は、執筆者の専門分野に関連した物質を例に説明されている。異分野の研究者にとっては理解が難しい内容もあるだろうが、「ひょっとすると」と感じれば、ぜひ関係者に相談してもらいたい。新しい挑戦が、その分野にとって新奇な評価法の誕生や研究開発の躍進につながることを期待して。
(本書「序論」)
■著者一覧
佐野正人 山形大学
田中諭 長岡技術科学大学
竹内秀一 ㈱日立ハイテクノロジーズ
坂上万里 ㈱日立ハイテクノロジーズ
加藤淳 ㈱日産アーク
池田裕子 京都工芸繊維大学
神谷秀博 東京農工大学
服部祐介 武蔵野大学
高崎祐一 ㈱アントンパール・ジャパン
則末智久 京都工芸繊維大学
立間徹 東京大学
二又政之 埼玉大学
東顕二郎 千葉大学
植田圭祐 千葉大学
森部久仁一 千葉大学
杉本昌隆 山形大学
大坪泰文 千葉大学名誉教授
佐藤根大士 兵庫県立大学
森隆昌 法政大学
小林征男 小林技術士事務所
小林幹佳 筑波大学
折井孝彰 (国研)理化学研究所
武田真一 武田コロイドテクノ・コンサルティング㈱
武井孝 首都大学東京
福山紅陽 FIA
第1章 顕微鏡
1 分散状態をその場観察できる蛍光顕微鏡
1.1 はじめに
1.2 光学配置
1.2.1 落射蛍光顕微鏡
1.2.2 全反射蛍光顕微鏡
1.2.3 トワイライト蛍光顕微鏡
1.3 分解能
1.4 トワイライト蛍光顕微鏡のコントラスト機構
1.5 その場観察例
1.6 トワイライト蛍光顕微鏡による微粒子の電子構造評価
1.7 おわりに
2 光学顕微鏡を用いたセラミックスの粉体と成形体の評価
2.1 はじめに
2.2 光学顕微鏡による評価
2.2.1 光学顕微鏡
2.2.2 浸液透光法
2.2.3 近赤外顕微鏡と赤外顕微鏡
2.2.4 共焦点走査型レーザー顕微鏡
2.2.5 偏光顕微鏡
2.3 他の観察を補填する観察方法として
2.4 さいごに
3 走査型電子顕微鏡
3.1 はじめに
3.2 走査型電子顕微鏡の原理と構造
3.2.1 SEMの原理
3.2.2 SEMで得られる情報
3.2.3 SEMの構造
3.2.4 SEM観察における帯電現象とその低減方法
3.3 応用例
3.3.1 FE-SEMによる微粒子の低加速電圧観察
3.3.2 FE-SEMによる微粒子のSTEM観察
3.3.3 画像処理を用いた後処理
3.3.4 自動粒子解析事例
3.4 おわりに
4 透過電子顕微鏡(TEM)から三次元TEM(3D-TEM)への進化とナノフィラー充填ゴムへの展開
4.1 はじめに
4.2 TEM観察原理の概要
4.2.1 制限視野電子回折(SAED)
4.2.2 TEMの倍率(magnification),分解能(resolution),およびコントラスト(contrast)
4.3 3D-TEM観察原理の概要
4.4 シリカ充填加硫・架橋天然ゴム(NR)のTEM・3D-TEM観察・解析事例
4.4.1 市販・in situシリカ充填加硫NRのTEM観察
4.4.2 市販・in situシリカ充填架橋NRの3D-TEM観察結果と光透過性
4.5 おわりに
5 プローブAFM法
5.1 はじめに
5.2 プローブ作製システム
5.3 コロイドプローブ用粒子,及びSubstrateの調整
5.4 気中での測定事例,粒子の付着性評価
5.5 液中での測定事例
5.6 終わりに
第2章 散乱
1 動的光散乱法によるマイクロエマルションの解析
1.1 はじめに
1.2 動的光散乱法
1.2.1 原理
1.2.2 装置
1.2.3 解析方法
1.3 マイクロエマルションの測定
1.3.1 はじめに
1.3.2 実験方法
1.3.3 相状態図
1.3.4 動的光散乱測定
2 小角X線散乱法によるナノ構造解析
2.1 小角X線散乱法とは
2.2 分散微粒子によるX線の散乱
2.3 X線散乱強度
2.4 実際のSAXS測定の詳細
2.4.1 SAXS測定モード
2.4.2 測定試料の準備
2.4.3 露光時間の設定
2.4.4 データ処理
2.4.5 バックグラウンド減算
2.5 SAXSデータの解析
2.5.1 Guinierの法則に基づく慣性半径の計算
2.5.2 Power Lowに基づく粒子形状の判別
2.5.3 逆フーリエ変換法による構造解析
2.5.4 逆重畳法による電子密度プロファイルの計算
2.5.5 粒度分布解析
2.6 濃厚系における構造解析
3 超音波散乱法
3.1 はじめに
3.2 動的超音波散乱法
3.3 超音波スペクトロスコピー法
3.4 おわりに
第3章 分光
1 プラズモン吸収分光
1.1 はじめに
1.2 光吸収の測定
1.3 基板上に担持した粒子の測定
1.4 暗視野顕微分光法
1.5 光電流応答の測定
1.6 粒子サイズの効果
1.7 粒子の異方性の効果
1.8 プラズモンカップリング
1.9 分散と凝集
1.10 スペクトルシミュレーション
2 表面増強ラマン散乱
2.1 はじめに
2.2 ナノギャップの重要性
2.3 金属ナノ粒子及び金属ナノ構造体配列形成
2.4 生体分子・医療への応用
2.5 今後の展望
3 核磁気共鳴法
3.1 はじめに
3.2 溶液1H NMRによるPEG修飾リポソーム懸濁液の評価
3.3 Suspended-state13C NMRによる薬物ナノ懸濁液の評価
3.4 おわりに
第4章 流動特性
1 液体の粘度
1.1 ひずみと応力
1.2 固体と液体における応力とひずみ
1.3 粘度曲線
1.4 粒子分散系の粘度
1.5 粘度測定装置
1.5.1 回転型粘度計
1.5.2 キャピラリーレオメータ
2 ナノ粒子分散系のレオロジー評価
2.1 はじめに
2.2 動的粘弾性曲線に基づく固体と液体の判別
2.2.1 動的粘弾性関数の定義
2.2.2 動的粘弾性関数の角周波数依存性
2.3 凝集分散系の動的粘弾性とコロイド化学的粒子間相互作用
2.3.1 動的粘弾性曲線と凝集構造
2.3.2 粒子間相互作用のベクトル的性質と動的粘弾性
2.4 ナノ粒子分散系の動的粘弾性
2.4.1 ナノ粒子の運動学的性質と非凝集分散系の粘弾性挙動
2.4.2 高分子によるナノ粒子の凝集と特異なレオロジー挙動
2.5 おわりに
3 重力および遠心沈降法
3.1 はじめに
3.2 回分重力沈降実験
3.3 沈降静水圧法
3.4 遠心沈降試験
3.5 おわりに
4 浸透圧法
4.1 はじめに
4.2 ナノ粒子スラリーの浸透圧測定方法
4.3 ナノ粒子スラリーの浸透圧と粒子分散・凝集状態の関係
4.4 ナノ粒子スラリーの浸透圧とナノコンポジットの微構造の関係
4.5 おわりに
第5章 電気特性
1 導電性ポリマーコンポジット:導電性フィラーの分散性と電気伝導
1.1 はじめに
1.2 導電性フィラーの種類と形状
1.3 ポリマー中でのフィラーの分散と分布
1.4 フィラーの分散性評価方法
1.4.1 面積率による分散性評価
1.4.2 森下の区画法による分散性評価
1.4.3 X線小角散乱法による分散性評価
1.4.4 動的粘弾性測定による分散性評価
1.4.5 その他の分散性評価手法
2 ゼータ電位と分散凝集
2.1 はじめに
2.2 電気二重層の理論
2.3 電気泳動の理論とゼータ電位
2.4 DLVO理論と臨界凝集濃度
2.5 コロイド粒子の凝集速度
2.6 おわりに
3 電気移動度分析によるサイズ測定
3.1 はじめに
3.2 DMAを用いたサイズ選別
3.2.1 電気移動度と粒径の関係
3.2.2 DMAの原理
3.2.3 検出器
3.2.4 標準粒子
3.2.5 荷電法
3.2.6 DMA測定系の感度特性
3.3 コロイド粒子の測定
3.4 応用例
3.5 DMA以外の電気移動度分析法
3.6 おわりに
4 電位差滴定法
4.1 電位差滴定とpH滴定
4.2 金属酸化物粒子表面の酸塩基的特性と帯電状態
4.3 表面電荷密度と界面エネルギー
4.4 pH滴定法による粒子表面の酸・塩基的特性評価法
4.5 粉体pHの測定例
4.5.1 塩基を逐次添加するpH滴定法による測定例
4.5.2 種々のpHに調整した水溶液に粉体を添加する方法による測定例
4.6 電位差滴定を用いた濡れ性評価法-疎水化処理表面の評価-
4.7 さいごに
第6章 表面特性
1 インバースガスクロマトグラフィー・浸漬熱
1.1 インバースガスクロマトグラフィー
1.1.1 表面自由エネルギーの測定法
1.1.2 装置と原理
1.1.3 測定例
1.2 浸漬熱
1.2.1 原理と装置
1.2.2 測定例
2 ぬれ性
2.1 はじめに
2.2 ぬれ性と接触角
2.3 表面張力
2.3.1 表面張力
2.3.2 表面自由エネルギー
2.3.3 固体の表面張力
2.3.4 界面張力
2.4 接触角と表面張力との関係
2.5 分散性とぬれ性との関係
2.6 接触角測定
2.6.1 液滴法(静滴法)
2.6.2 浸透速度法
2.7 表面張力測定
2.7.1 Wilhelmy法(垂直板法,プレート法)
2.7.2 懸滴法(ペンダント・ドロップ法)
2.7.3 固体の表面張力(表面自由エネルギー)測定法
2.8 おわりに